統括院長の石丸です。本日は、鍼灸施術で潰瘍性大腸炎の症状が改善する理由についてお話しします。
潰瘍性大腸炎は、東洋医学の効果が如実に現れる症状のひとつです。しかし、鍼灸院ならどこでも症状を改善できるわけではありませんし、東洋医学の効果がよく理解できていない方も多いでしょう。本記事でわかりやすく解説しますので、ぜひご一読ください。
鍼灸の施術に効果があるのはなぜなのか
まず、鍼灸の施術が内臓に働きかけられる理由について説明しましょう。
人の身体には、内臓に至る道が張り巡らされています。ツボは「駅」、経絡と呼ばれる「道」を「線路」だとお考えください。その線路は、身体の外側からはじまり、身体の深くに潜っていき、内臓にまで届いています。鍼灸の施術で肌を刺激することで、内臓の症状を改善できるのはこのためです。鍼灸を施すことで、五臓六腑の機能を高めることもできます。
潰瘍性大腸炎の場合は、五臓のひとつである肺と、肺に属する臓腑である大腸の機能を高めることが重要になります。肺と大腸の関係を東洋医学では陰陽関係にあると表現しますが、陰である肺の機能を高めることで、陽である大腸の機能をも高めるのです。
このとき、肺や大腸を刺激するためにと、鍼を用いて大腸を刺すようなことは一切ありません。特に、お子さまへの施術においては、痛みを伴う施術を行いません。成人のお客さまの場合は鍼を刺すこともありますが、その刺激は非常に少ないものです。
潰瘍性大腸炎の特徴
潰瘍性大腸炎の症状にお悩みの場合、肺の症状もお持ちの方が多数です。東洋医学でいう、肺の症状は以下のようなものです。
- 肩こり・腰痛
- 喘息気味
- 呼吸器が弱く風をひきやすい
- 喉の痛み、声が出なくなる、咳が出やすい
- 慢性扁桃炎などの喉の症状
- 鼻の症状
- アトピーや吹き出物、乾燥肌などの皮膚症状
- 季節の変わり目に不調が起きる
- 喘息や小児喘息の経験がある
- 家系に肺がんや大腸がんの方がいる
- 末端冷え性
- 手足が湿っている
- 眠りが浅く、3時~5時になぜか目が覚める
- 生理不順、生理痛などの婦人科系の症状
- 朝の腰痛、朝のだるさ、朝の歩き始めの一歩が痛いといった起きぬけの症状
潰瘍性大腸炎の症状を訴えるお客さまが増えるのは、8月から11月、2月から4月にかけての季節の変わり目です。上に挙げたような症状を全てお持ちだというわけではありませんが、潰瘍性大腸炎と喘息といった具合に肺と大腸の症状を併発している方が多数をしめています。
しかし、これはあくまでも東洋医学の観点によるものです。西洋医学の呼吸器科の医師に、「肺が弱いせいで眠りが浅いのですか」と尋ねても、理解してもらえないでしょう。
西洋医学の対処法
実際にこれらの症状で病院を受診すると、以下のように対処されるはずです。
病院(西洋医学)の治療 | |
① 潰瘍性大腸炎の場合 | 消化器内科でステロイドを処方される |
② 肺の症状がある場合 | 呼吸器科を受診するようすすめられる |
③ 鼻の症状に悩んでいる場合 | 耳鼻科でヒスタミン剤などを処方される |
④ 皮膚症状がある人 | 皮膚科でステロイドを処方される |
⑤ 不眠で困っている場合 | 心療内科で精神薬を処方される |
⑥ 婦人病がある場合 | 婦人科で痛み止めなどを処方される |
⑦ 肩こりや腰痛の症状がある人 | 整形外科で湿布や痛み止めを処方される |
こうした対症療法では、何も治りません。冷え性の症状に西洋医学では手も足もでませんし、潰瘍性大腸炎の場合も、西洋医学ではその原因を突き止めることができないのです。
全体を見て、原因に処置をする
西洋医学は、「木を見て森を見ない」と評されることがあります。潰瘍性大腸炎の症状がある人は、胃腸科でその症状については診てもらえても、他の症状はそのままです。一方の東洋医学は、「森を見て木を治す」医学です。鼻や皮膚の症状にまで気を配りつつ、潰瘍性大腸炎を改善させていくことを目指します。
火のないところに煙は立たちません。何かしら火のもと(病の原因)があり、煙(症状)があるのです。潰瘍性大腸炎ならまず、肺が弱っているところに大腸の症状や咳、鼻、皮膚、不眠、倦怠感、朝の不調という症状が出てくる。だからこそ、肺機能を上げることで、潰瘍性大腸炎以外のさまざまな症状も治まるというわけです。
潰瘍性大腸炎の症状があるのは、同じような体質の方ばかりです。肺が弱いところに誤った食生活などが重なり、大腸にその影響が出ている。潰瘍性大腸炎だけでなく、過敏性腸症候群であったり、便秘・下痢を繰り返したり、大腸ポリープがあるという人もいます。こういった方々は、病院で処方されるステロイドで対症療法をするより、東洋医学で火のもとを消すことが根本的な解決につながります。
ただし、潰瘍性大腸炎は決して簡単に解消できる症状ではありません。鍼灸院であれば、どこでも治せるというわけでもないのです。潰瘍性大腸炎という病名すら知らない鍼灸師もいると思います。鍼灸で潰瘍性大腸炎の改善を目指すなら、東洋医学を専門とする鍼灸院をお訪ねください。
統括院長 石丸昌志