脈診流とは

カウンセリング

東洋医学には、

  1. 身体の内側から働きかける「漢方薬」
  2. 身体の外側から働きかける「鍼灸」

という2つの大きな柱があります。

「鍼灸」は、古代中国で生まれた長い歴史を有するものであり、かつては日本の医療の中心でした。その後、ヨーロッパから入ってきた西洋医学に押され、主役の座を明け渡すことになってしまったのです。

しかし近年になり、西洋医学では治せない症状や不得意な分野を補う「補完・代替医療」として、世界各国で再び注目を集めるようになりました。

「鍼灸」は、伝統的な東洋医学の考え方や技術を継承するもので、日本においては1948年に国家資格となり、現在に至ります。

今回は、「鍼灸」の中でも最も難しく繊細な手法である「脈診(みゃくしん)」と、その診断に基づく施術「脈診流」についてお話しします。

脈診流の鍼灸について

鍼灸

経絡とは

古代中国の医学書のひとつ『難経(なんぎょう)』には、「手首の脈を診ることで全身の経絡(けいらく)の状態を判断できる」と書かれています。

経絡とは 「気血(エネルギーや体液)が流れる通路」のこと。

全身にくまなく張り巡らされており、電車の線路にも例えられます。駅に相当するのが「経穴(けいけつ)=ツボ」で、経絡が経穴をつないでいます。

電車がある路線で運転を見合わせると別の路線にも影響を与えるように、この通路の気の流れが悪くなると、心身にさまざまなトラブルが発生するのです。

脈診とは

脈診とは、指先の感覚を研ぎ澄ませて経絡上のトラブルをとらえ、はりをどこにどのように刺すか、施術方法を判断するために用いるものです。場合によっては、お灸と併用することもあります。

脈診流の鍼灸は、古典的な東洋医学の理論に則り、「脈を診る」ことで心身の異常を見つけ、健康な状態へ導くためのものです。

脈診でどんなことがわかるの?

加藤

西洋医学で「脈をとる」行為は主に、心拍数を数えるというもの。心臓や血管への負担などを診ています。

一方の東洋医学では、両手首に

  • 人差し指
  • 中指
  • 薬指

の3本を横に並べ、計6本の指に伝わる

  • 脈の質
  • リズム
  • バランス

などを確認します。

指ごとに感じる脈の違いも含め、総合的に判断するのが「脈診」です。

病脈と健康脈

脈診では、「病脈(びょうみゃく)」と「健康脈(けんこうみゃく)」の状態を確認します。

「病脈」とは、人間が本来持っている自然治癒力や免疫力が衰え、心身の健康を維持できない状態にあることを示します。

反対に「健康脈」は、これらの機能が正常に働き、何かトラブルがあっても順調に快癒できる状態にあることを示します。

脈診流では、脈の状態を確認しながら鍼灸の技術を用い、よりよい健康脈へと改善することを目指します。施術中にも適宜脈を診ながら、施術の方向性を微調整していきます。

脈診流 鍼灸の特徴

お灸

脈診流 鍼灸の大きなメリットは以下の3つです。

  1. 病気を未然に防ぐ
  2. 原因のわからない「不定愁訴」に強みを発揮する
  3. 体質や生命力に合わせたアプローチができる

これらのメリットをひとつずつ解説していきましょう。

1、病気を未然に防ぐ

西洋医学は、目に見える病気への対処を得意としています。

一方の東洋医学は、病気になる前の段階、すなわち「未病(みびょう)」の状態でのアプローチが可能なことが最大のメリットです。「まだ病気ではないけど、健康でもない」という段階で改善してしまおうということです。

私たちが病気になる前、どこかに必ずその予兆があります。脈診流では、その兆しをいち早く見つけ、適切な鍼灸施術を行って未病を解消していきます。

2、原因のわからない「不定愁訴」に強みを発揮する

病院の検査では異常なしと診断されるのに、つらい症状を感じる「不定愁訴」に強みを発揮するのも「脈診流」のメリットです。

脈を「健康脈」の状態へ改善することで、「不定愁訴」のつらい症状が軽減できることが、長い歴史の中で確かめられています。

3、体質や生命力に合わせたアプローチができる

脈の打ち方や質などは患者さまお一人おひとりで異なりますし、常に変化し続けています。

施術中に何度も脈を確認することで、その人に合わせたきめ細やかな鍼灸施術が可能となり、「健康脈」へとスムーズに導くことができるのです。

流派や考え方により、施術法が異なる鍼灸

鍼灸師

鍼灸といっても、すべて同じではありません。鍼灸には、大きく分けて3つの系統があります。

  1. 中医学(現在の中国で確立された医学)に基づいた鍼灸
  2. 古代中国の流れを汲み、日本で進化を遂げた鍼灸
  3. 筋肉や神経の働きに即して刺激を与える現代的な鍼灸

脈診流は、古代中国の流れを汲み、日本で進化を遂げた鍼灸で、指先で脈をとらえて施術する繊細な施術のひとつです。

脈の打ち方の種類を覚えるだけでも大変なこと。その質や全体のバランスを判断したうえで、的確なはりの打ち方やお灸の方法を考え、組み立てていくのですから、一筋縄ではいきません。

他の鍼灸との違い

現代的な鍼灸は、痛みや不快感のあるところ、その症状に有効とされるツボにはりやお灸をし、筋肉や神経に刺激を与えるのが主流です。このため、刺激に敏感な方の場合は不快な「響き」を感じることもあります。

中医学では、この「響き」や「痛み」があるほうがいいとされる場合もあり、積極的に行うこともあります。

一方の脈診流は、経絡の調整を目的とするため、痛みや不快な刺激を感じることはありません。むしろ、心地よいと感じる方が多数おられます。

どなたでもリラックスして施術を受けられますので、安心してご来院ください。

おわりに

お一人おひとりの心や身体の声に耳を傾け、寄り添う施術をするのが脈診流の鍼灸です。施術を受ける方の負担も少なく、人間が本来持つ健康の力を引き出すことに主眼を置く考え方は、ストレス過多の現代に必要とされている選択肢のひとつだといえます。

ただ、その施術には、ある程度の研鑽や経験が必要になります。東洋医学に基づき、脈診流の鍼灸をしっかり行う鍼灸院は希少といえるでしょう。

「気になる症状や悩みがあるけれど、なかなか改善できない」

「鍼灸は試してみたけれど、あまり効果が感じられなかった」

こういった方は、伝統的な脈診流の鍼灸を行う鍼灸院にぜひご相談ください。