今回は、春に多い症状と養生法についてお話ししていきます。
春はどんな季節か
春は立春(りっしゅん)から立夏(りっか)の前まで「2/4〜5/5の約3ヶ月間」にあたります。
東洋医学では、春は発生・発散の季節とされており、冬の間にたまった栄養や老廃物などが一気にカラダの奥底から溢れ出します。また、春は五臓(肝・心・脾・肺・腎)の中では肝と関係していると考えられています。
肝とは
東洋医学の肝と、西洋医学の肝臓は似て非なるものです。
肝は主に、次の2つの働きをしています。
- 血を全身の隅々まで運ぶ
- 血を蓄えておき、必要な時に送り出す
これらの働きを見てわかるように、肝はカラダ全体の血の巡りと密接に関係しているのです。
五行について
古来中国から発祥した五行(ごぎょう)という考え方があります。これは、世界中の全ての物事を木、火、土、金、水という五つの要素に分けたものです。
中でも、春や肝はどちらも木の性質に当てはまります。木とは、木々が枝葉をのびのびと生やし成長する性質を持っています。季節では春、五臓では肝、その他にも目や筋肉、怒りなどが当てはまります。
春は肝の働きが乱れやすい季節になるので、目や筋肉の症状や怒りやすいなどといった精神的な症状が出やすい時期と考えられます。
①目の症状と養生法
目の症状に多いものは
- パソコン、スマホの見過ぎによる目の疲れ
- 花粉症による目の痒み
- 視力低下
などがあります。
養生法:目の使い過ぎは、肝の働きを低下させます。目を閉じたり、遠くの景色をぼんやり眺めたりと適度に目を休ませましょう。また、ホットタオルで目のまわりや首の後ろを温めるのも効果的です。
②筋肉の症状と養生法
筋肉の症状に多いものは
- 坐骨神経痛
- ぎっくり腰
- 腰痛、膝痛
- 五十肩
- 首、肩、腕の痛みや痺れ
- 寝違え
- 足がつる
などがあります。
養生法:夜はゆっくり湯船に浸かって、筋肉の疲労をとりましょう。最低でも10分くらいは浸かるようにすると身体の深部から温まります。また、質の高い睡眠にもつながります。
肝は、夜中寝ている間に血の浄化をしています。血が汚れたままですと、車で例えるなら古いガソリンで走るようなものです。これでは上手く走ることができません。
③怒り(精神的な症状)と養生法
精神的な症状に多いものは、
- すぐカッとなって怒りやすい
- ストレスが溜まってイライラする
- 気持ちが不安定になる
などがあります。
養生法:適度な運動やストレッチなどは、気を晴らしてくれます。また腹式呼吸をして深い呼吸ができるよう意識してみてください。また、好きな香りを嗅ぐと気が巡ります。
その他の症状と養生法
食欲が高まる、寝ても寝ても眠いなど
※肝は欲望の臓器と言われているため。
婦人科疾患(生理痛、生理不順、PMS、頭痛など)
※肝経(ツボとツボを結ぶ線路のようなもの)は生殖器や頭を巡っているため。
養生法:腹八分を心がけて、よく噛むようにし、食事を楽しみましょう。そして、夜はいつもより少し早めに寝るよう心がけましょう。
おわりに
季節と五臓の働きについて知っておき、日々養生する事で、症状を未然に防いだり、軽くする事ができます。
ぜひ、参考にして頂ければと思います。最後までご覧いただき、ありがとうございました。