鍼灸と整体・整骨院の違い
整体院に行ったことはあるけれど、鍼灸院は初めてという方も多数おられるのではないでしょうか。
ここでは、施術内容やその効果、資格などにおける鍼灸院の特徴をご説明いたします。まずはこちらの動画からご覧ください。
【アニメで解説】東洋医学と鍼灸!
鍼灸院の特徴1. 施術内容について
伝統的な鍼灸は、適切な位置・深度でツボを刺激し、身体に流れている気血の巡りを整え、内臓の働きを鼓舞することで自然治癒力を向上させようという施術法です。
東洋はり灸院では、局所のみの施術、またマッサージなどの慰安行為は行なっておりません。
身体全体を診て、長い歴史に裏打ちされた陰陽五行を駆使し、「鍼」と「もぐさ」のみで身体の内側から症状を改善し、さらに症状を繰り返さない身体作りのために鍼灸施術を行います。
整体や整骨院では・・・
鍼灸が身体の内側からのパワーで症状を改善させるのに対して、整骨院や整体院では、外側からパワーを加えることで身体を矯正していきます。
これは、骨格や骨盤を矯正することで、骨格バランスを整えるということ。さらに、電気を流したりマッサージすることで一時的に局所の血流改善を促し、痛みに対してアプローチしていくというものです。
また、柔道整復師が「骨接ぎ」とも呼ばれるのは、骨折や脱臼の整復なども行っているからです。
鍼灸院の特徴2. 施術効果・持続性について
鍼灸は、ケガや整形外科的な痛み、内科疾患に至るまで、万病に対応可能な施術です。
東洋はり灸院では、ギックリ腰や寝違えなどの急性的な痛みに対しては1〜2回、慢性的な痛みには3〜6回の施術を目安にしています。
また、整形外科的な疾患以外の内臓、感覚器、内分泌などの症状にも幅広く対応しています。その場合は少し時間を要しますが、現代医学的な治療法とは異なるアプローチで、治癒への道案内を精一杯努めていきます。
局所の痛みであれ、内科的な疾患であれ、その症状の根本的な原因を解決し、症状を繰り返さない心身作りを行います。捻挫やむち打ちなどの急性のケガにも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
整体・整骨院では…
整骨院では通常、整復可能な脱臼や骨折に力を発揮します。短期的な症状である、ケガや外傷に対して有効なため、スポーツ選手のケガや交通事故のリハビリなどにも利用されています。
整体院では、背骨や骨盤の歪みを整えることで症状にアプローチしていきます。症状の原因を「局所の血流の滞り」や「身体の歪み」に求めるため、定期的な施術が必須です。
鍼灸院の特徴3. 検査やカウンセリングについて
東洋医学を実践する鍼灸院では、
- 顔色、肌の異常、歩き方などを観察する「望診」
- 臭いや声の高低・大小などを聞く「聞診」
- 症状や既往歴病に関する情報を問う「問診」
- 脈やお腹、局所の状態に触れる「切診」
の4つを駆使して施術法を決定し、鍼灸施術をします。
東洋医学で重視するのは、身体の内側の状態です。全体像を把握して、外側に表れるさまざまな症状から内臓の働きを類推し、心身を整えていきます。
整体院では・・・
整体や整骨院の検査では、身体の外側、つまり筋・骨格系を重視しています。
- 骨盤や背骨の異常
- 筋力、神経系の異常
などの疾患を、さまざまな現代医学的検査法を駆使して類推し、施術内容を決定していきます。
形態的な異常、局所の異常を検知することで、ヘルニアや胸郭出口症候群などの問題を発見していくのです。
鍼灸院の特徴4. 資格について
統括院長の資格
鍼灸の施術を行うためには、はり師・きゅう師の国家資格が必要となります。
鍼灸院の看板をかかげているところは、
- はり師
- きゅう師
という2つの国家資格取得者が施術しています。
これらの国家資格を取得するためには、国から認可されている学校に3年間通い、実技と学科を学んだうえで国家試験を受験し、合格する必要があります。
国家試験に合格すると、鍼灸師を求めている医療機関への就職はもちろん、独立開業する権利が与えられます。
鍼灸院と一言で表す場合がほとんどですが、「はり師」と「きゅう師」は別々の資格です。
あん摩マッサージ指圧師
マッサージに関しては「あん摩マッサージ指圧師」という国家資格があります。この資格を所持している人は、身体を押したり揉んだりして、ほぐしながら症状を改善させていく施術を行うことができます。
- はり師
- きゅう師
- あん摩マッサージ指圧師
の3つを合わせて、三療師(さんりょうし)と呼びます。
柔道整復師
柔道整復師は、国家資格のひとつです。
国から認可されている学校に3年間通い、実技と学科を学んだうえで国家試験を受験します。国家試験に合格すると、柔道整復師を求めている医療機関への就職が可能です。
整体院では・・・
整体は民間療法であるため、国家資格を必要としてはいません。独自の方法も含め、数多くの施術法が存在します。
技術を教える学校やセミナーはありますが、鍼灸師や柔道整復師のように、専門学校や大学に通い、国家試験に合格しないと免許がもらえないということはありません。
その他の施術法について
鍼灸と整体、整骨院の違いをおわかりいただいたうえで、他の治療についてもお話しします。
鍼灸や整骨院、整体以外にも、
- カイロプラクティック
- マッサージ
などの民間療法があり、病院やクリニックでも、
- 整形外科
- 耳鼻咽頭科
- 内科
- 婦人科
- 皮膚科
などの科目があります。これらを含めると、ひとつの症状に対してもさまざまな治療法があり、どこを受診すればよいのかと迷われる方も多いでしょう。
東洋医学には、他の治療法と比較して優れた点があります。それは、身体の体質を変え、生命力や機能を向上できるところです。
対症療法では根本的に改善できない
実は、西洋医学の施術院や病院で受ける治療の数々は、そのほとんどが対症療法に過ぎません。
身近な例を挙げましょう。
肩こりの場合
肩こりでお悩みの方は多数おられますが、肩こりの原因は循環不良です。
整体やマッサージでバキバキと捻ったりもんだりして治るならいいのですが、ほとんどの場合、それだけで循環不良が改善することはなく、すぐにまた症状が出てしまいます。
慢性鼻炎の場合
慢性鼻炎でお悩みの場合、その原因は体質にあります。
東洋医学による鍼灸治療では、身体の機能そのものを高め、慢性鼻炎の症状が出ない体質に変えることができます。その結果、鼻炎の症状が出なくなるのです。
西洋医学は対症療法
しかし、病院をはじめとする西洋医学では、対症療法しかできません。
これは、
- 潰瘍性大腸炎
- 胃腸障害
- 不眠症
など、他の慢性病でも同じことが言えます。
東洋医学以外のどの治療でも、身体の機能や生命力を上げることは難しいでしょう。
東洋医学ならまとめて施術できる
また、いくつかの症状を同時に持ち合わせていた場合、西洋医学(病院)ではそれぞれ違う科を受診する必要があります。
症状 | 科 |
鼻が悪い | 耳鼻科 |
肩こり | 整形外科 |
生理痛 | 婦人科 |
風邪 | 内科 |
皮膚症状 | 皮膚科 |
便秘 | 胃腸科 |
といったかたちで、身体をバラバラに診て、処置しているわけです。
しかし、東洋医学では、常に身体全体を診ます。大元の原因を探り、根本原因へアプローチするためです。そうすることで、お悩みの症状はもちろん、その他の症状をまとめて改善させられるのです。これこそ東洋医学の最も優れた点だと考えています。
伝統的な鍼灸は、先人の知恵の結晶です。「この症状にはこの治療」といったかたちで、何百年も前から実際に効果があった方法を積み重ねてきました。こられの方法は、現代人に対してももちろん有効です。
おわりに
今回は、鍼灸院と整体・整骨院の違いについてお話しさせていただきました。
東洋医学には、他の治療と比較して優れている点が多々あります。
- 「他へ行ってもよくならなかった……」
- 「もう諦めるしかないのか……」
そうお悩みの方は、選択肢のひとつに鍼灸をお加えください。