突然ですが、悲しくて泣いた時に呼吸が浅くなり苦しくなったり、イライラしたときにカーッと顔が赤くなった経験はありませんか?
実はこれらは感情の乱れよって五臓のバランスが崩れて起きる症状です。今日はこの「感情と五臓の関係」についてお話しします。
五臓とは
- 肝
- 心
- 脾
- 肺
- 腎
この5つのことを指します。東洋医学では、内蔵のことを五臓六腑(ごぞうろっぷ)といいますが生きるために必要な働きを分類したもので、西洋医学における臓器の概念とは異なります。
この五臓がバランスよく働いていると、気血や津液(しんえき)の巡りがよい健康な身体でいられると考えます。
なぜ病気が起こるのか?
東洋医学では病気の原因となるものを次のように考えます。
- 身体の外から入ってきて病気を引き起こす → 外因
- 身体の中から起こるもの → 内因(内傷)
今回のテーマである感情は、この内因にあたります。人間の感情である七情(怒/喜/思/憂/悲/恐/驚)に偏りや乱れが生じると経絡に変動がおき、さまざまな症状が出るとされています。
感情によって起きる症状 5つのパターン
その1 怒り過ぎれば「肝」を傷める
イライラやストレスがかかりすぎると肝に関する症状がでます。
- 足がつる
- 眼精疲労や瞼がピクピクするなど目の症状
- 首、肩、背中のこり など
その2 喜び過ぎれば「心」を傷める
喜び過ぎたり笑いすぎると心に関する症状がでます。
- 強い倦怠感や疲労感
- 情緒不安定や不眠
- 舌の先が赤くなる など
その3 思い過ぎれば「脾」を傷める
思い悩み過ぎると脾に関する症状がでます。
- 体が重だるい
- むくみやすい
- 下痢や消化不良 など
その4 憂悲過ぎれば「肺」を傷める
悲しみ泣いたりすると肺の症状がでます。
- 鼻水が出たり鼻が詰まる
- 咳や痰が出る
- 肌の乾燥や痒み など
その5 恐驚過ぎれば「腎」を傷める
恐れたり驚いたりすると腎の症状がでます。
- 耳鳴り
- めまい
- トイレが近くなる など
このように、とくに肝や肺に関する症状は思い当たる方が多いのではないでしょうか?
私自身も国家試験前日、過度の緊張から足がつってしまいどうしようもなかった経験もあります。
内因なければ外邪入らず
東洋医学の古典には「内因なければ外邪入らず」という言葉があります。これはすべての病は内因(感情の乱れ)が原因となっているという意味です。
現在は新型コロナウィルスの流行もあり、今まで以上に気持ちの波が大きくなっている方が多いと思います。身体に大きな症状が出ていなくても、「最近元気が出ない」「気持ちがモヤモヤする」などと感じたら、それは身体がSOSを出しているサインかもしれません。
鍼灸で五臓のバランスを整えよう
鍼灸を受けると五臓のバランスが整い、精神的に落ち着きリラックス効果も得られます。もちろん、自然に触れたり、好きな音楽を聞いたり、アロマを炊くなど、リラックスできることをするのもいいですね。
心の不調を感じたら、身体と同じように早めのケアで大きな不調を防ぎましょう。